お知らせ
2017年
8月
13日
日
電力需給実績の見える化について
皆さんは、「電力会社」「情報公開」と聞いて、どんな印象をお持ちでしょうか? 情報隠蔽? 資料請求に対する黒塗りの資料?
私の住むドイツの発電所を運営してる事業者は、電力取引市場の公正を担保するために、前日までには自身の発電所の発電計画を市場参加者に透明性高く報告しなければなりません。また、取引市場では、翌日の太陽光発電、風力発電の予測状況を公開することで、市場取引参加者に共通の透明性高い情報公開を担保し、インサイダー取引など公正取引を阻害する事柄を取り除く努力がなされています。
同時に、計画に対して、実質の発電状況もリアルタイムで公開されています。そんな各種の情報から、例えばソーラーエネルギーシステム研究では欧州最大規模のフラウンホーファー研究所ISE(ソーラーエネルギーシステム研究所)、あるいはドイツで最大規模のエネルギーシフトに関するシンクタンク、アゴラエネルギーヴェンデなどが、一般市民に向けて、広く、見やすい情報提供をすることで、電力事業にかかわる情報の公開の一翼を担っています。
エネジーチャート:
https://www.energy-charts.de/power.htm?source=all-sources&week=32&year=2017
アゴラメーター:
https://www.agora-energiewende.de/en/topics/-agothem-/Produkt/produkt/76/Agorameter/
皆さんは、そんなドイツの情報を耳にすると、それに引き換え日本ではまったく電力の情報公開が行われていない、「けしからん!」と思ってはいないでしょうか?
はい、もちろん、ドイツのように日本ではリアルタイムの情報や各種の発電所一つ一つの情報については、まだ情報公開されていません。したがって、その批判は一方では当たっています。
しかし、他方では、すでに2016年4月1日から、すべての一般電気事業者(大手電力10社)においては、四半期ごとに(公表は数か月遅れですが…)、1時間ごとの各種の発電源の発電状況、揚水水力の使用状況、あるいは系統連携の使用状況などを情報公開する義務が課され、そのデータについてはネット上に公開されるようになっているんです。つまり、皆さんの手に届く範囲で、これまで歴史上入手不可能だった情報が、すでに十分に手に入るようになっているんですね。
ただし、残念ながら、この情報は単なる数字の羅列として公表されており、なかなか普通の人では理解できない状況が続けられていました。私個人としては、2017年3月に至るまで、そのうち再エネのステークホルダーや経産省、あるいは環境省などが見える化をするようになるに違いない、と考えていました。しかし、この春になっても、すでに2016年4月1日から2017年3月31日までの1年分の情報が公開されるようになっても、「見える化」は行われることがありませんでした。
したがって、私たちは、建物の燃費性能の「見える化」では、すでに実績がある「一社日本エネルギーパス協会」と提携し、同時に、この事業のスポンサーとして、建物のエネルギー性能を見える化することでうまく他社と自身の建築の省エネ性能の差別化をしている「㈱ウェルネストホーム」に依頼をする形で、日本ではじめてと自負している電力の見える化を実現することが可能となりました。
https://wellnesthome.jp/energy/
本当にこの見える化ツール、優れものなので、皆さん、是非、このリンクをシェア、転送、コピーして世の中に広めてあげてください!
例えば、日本では2016年4月から2017年3月までの1年間においては、電力需要に対して、系統に流れ込んだ再エネ(自家消費分と揚水水力は含まない、水力、地熱、バイオマス、太陽光、風力の合計)は、13.8%になっています。多いと思いますか? それとも少ない?
数年前までは日本の発電では、水力9%とその他の再エネ2%程度の合計でおよそ11%だったのですが、2017年7月の今の時点では再エネの割合は16%程度まで成長しています(2017年の予測値、自家消費分なども含む)。過去5年間で5%も上昇しているわけですから、政府が2030年に目標としている22~24%(あと6~8%の上昇)という目標は、低いような気がしませんか?
しかし、上記の見える化のツールを使って、2016年5月4日の九州電力の電力需給状況を確認してみてください。この日は、GWによって会社はお休み。電力の需要が低いタイミングで快晴だったので、午前11時には太陽光発電だけで61%以上の電力を発電するようになっていますし、その他の再エネを合計すると77%程度にまで発電するようになっています。九州電力では2016年4月から2017年3月までの1年間における太陽光発電の発電量割合は8.2%に過ぎませんが、瞬間的には61%を、もし2017年5月のデータが公表されてきたなら、それ以上の出力を発電するようなタイミングもできてしまうわけです。
九州電力はこうした状況に対して、太陽光発電の出力抑制をかけると公表しています。
http://www.kyuden.co.jp/press_h160721-1.html
そういった状況であれば、変動性再エネといわれる太陽光発電、風力発電はこれ以上必要ないのでしょうか? それとも、再エネを入れにくくしている一定出力で発電を続けるのみの柔軟性のない原子力発電や、最近申請や建設がラッシュの木質バイオマス発電が必要ないのでしょうか?
これらについては、回答をここで急いで出すつもりはありません。このテーマについては、国民的な議論が必要になるのです。
そんなきっかけになるべく、情報の見える化を整備しましたので、それぞれの電力事業者において、それぞれの時間帯、日時において、発電状況がどうなのか、電池といわれる揚水水力発電の使用状況はどうなのか、他社との系統連携がどうなのか、つぶさに観察してみてください。そして皆さんの周りの方と議論してみてください。
その先には、きっと、将来のエネルギーMIX、電源MIXについて、これまでよりも、より一段高いところからの「意見」が待っているはずです。
2017年
8月
12日
土
ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか
ブログでお伝えすることが遅れましたが、エネルギーと同じようなコンセプトで(kWh=¥)、都市計画、交通を違う方向に整備するために舵を切り、地域経済を活性化させることはできないか模索した本(km=¥)を記しました。
ドイツの都市計画の基礎の基礎「ショートウェイシティ」について説明し、そして交通対策でまちを活性化する方策について論じています。
まちを活かすには、日本でのコンパクトシティ、立地適正化計画のような面=線引きでの取り組みではなく(もちろん大型商業施設の再開発でもなく)、ドイツのように面を意識した上で個々の建物ごとのミクロでの取り組みを積み上げて行く必要があります。
この本で試みたことは、都市計画の方針と交通政策について、これまでのまちづくり本にはない切り口で、とりわけ小規模都市、人口少数の農村も念頭においたことです。また、ウーバーX的なるもの、完全自動運転車など新しいテーマについての論考も含めています。
最終的なタイトルは出版社が会議で決めたわけですが、私個人的に内容的に即したタイトルをつけるなら、
『ドイツにはコンパクトシティという言葉すらないのに、なぜまちがコンパクトにまとまり、活気があるのか? ~交通から考えるドイツのショートウェイシティ、移動距離の短いまち ~交通手段を変更して、地域において経済的な付加価値の創造を行う、すなわちkm=¥のコンセプトとは!』
というものです。
もしよろしければ、お読みいただけると幸いです!
2017年
8月
11日
金
日本で持続的に利用可能な木質バイオマスの量は?
日本ではFITにおけるメガソーラーブームがそろそろひと段落という感じになってきましたが、木質バイオマス発電については、なかなか目を見張るものがあります。いや、ネガティブな意味で…
http://www.mori-energy.jp/hatsuden1.html
こんなに大量に、木で発電するという馬鹿なことをやっていると、いよいよ治山という意味で恐ろしい時代がやってくるなと危惧していますが、やっている関係者は良いことをやっていると思い込んでいるところに、日本の木質バイオマス発電のゆがんだところが凝縮されているんだと思います。
その「良いことをやっている」という思い込み(妄想)の根拠はおおよそ次の2点になります:
1.地域産材(とりわけ未利用材)を主体として利用することにしているプロジェクトでは、木質バイオマス発電をすることで、燃料を供給するチェーンを展開することで、①地域の放置されている森に手を入れ、間伐などの作業を進め、②地域に雇用場所を作り、③過疎の山村部の活性化をもたらす、環境にも良いし、みたいな感じの妄想です。
それぞれ、
①1m3=6000~9000円のB級材を産出するためにすら、1m3=4000~6000円の低質材を産出するためにすら手が入れられなかった森に、なぜ、1m3=3000円前後であるべきのカスケード利用の最下端であるはずの木質チップを生産することで、森に手が入るのか? そんなゴミを拾いに行くために日本の道なき、急峻な山に入っていって、森に必要とされている気の利いた形で手が入り、整備されることなんて妄想でしかありません。木質バイオマス発電によって、間伐などの手が入るようになるわけでは100%なく、単に助成措置が別でついているから(木質バイオマス発電などなくとも)、間伐されているだけです。結局は、コストとの兼ね合いで、皆伐される山も大量に出てくるでしょうし、その費用対効果は、時間経過とともに(最初は有利なところからチップを集めてくるので)悪化し、時間経過とともに、山がより荒らされることになります。
②、③こうした現状を無視した妄想で実施した木質バイオマス発電は、需給バランスが崩れ、チップの価格が高騰したときに、事業者として即刻破たんさせるべきなんですが、往々にして、地域に利益があるという口車で、追加で助成措置などが入ったり(それをやるなら、FITなど適用させるべきではないでしょう)、あるいは自治体や県の税金からの資本を投入して三セクなどの形態で行うため、ある程度の高額でも発電を続けてゆくことになります。すると、木材のカスケード利用の川上(合板、製紙、製材など)における需要とが被ることになり、材は高騰し、健全に経営していたはずのそうした雇用効果の高い木材チェーン産業の雇用が失われる可能性を飛躍的に高めます。そもそもバイオマス発電単体では、発電所などでほとんど雇用を生み出しませんし、とりわけ、その施設が地域資本ではなく、地域外から(東京など)資本を持ち込んだものであると(設備・プランとも輸入とか、別地域で作られたものであると)、域内GDPは逆に減少することにもなりかねません。ということで、上記のサイトで示されたような無数のプロジェクトが、その半分でも実現してしまうと、地域から雇用を減らし、地域の活性度を奪ってしまう結果になります。
2.外材(とりわけチップ輸入、やしがら輸入など)を主体として利用することにしているプロジェクトでは、④再生可能エネルギーを推進しているのだから、地球温暖化の対策にもなり、地球環境に貢献する、というような感じの妄想を持っています。
ただし、そもそもFITの賦課金負担によって、国民がお金を出すことが正当かの判断を問われることになりますし(FITを適用しないのなら、勝手にやれば良いのですが)、④については、再エネの一つである木質(混燃)バイオマス発電をすることでも、その輸入する材料を出荷する国での環境保護、自然保護のスタンダードは、日本のそれよりも格段に低いケースがほとんどで、現地での乱伐、汚染の排出などを伴います。同時に、EUで行われた多くのバイオマス燃料に関するLCA調査でも明らかなように、そうした輸入バイオマスは、(とりわけ森林などの土地消費と汚染排出によって)化石燃料よりもLCAバランスが悪いということが往々にして起こりますし、日本には、EUにあるようなそれが本当に意味のあるバイオマスなのかどうかを認証するシステムも義務化されていません。
ということで、最悪の木質バイオマス発電ですが、上記のことをお話した上でも、それでも、自分の地域だけは、入念に地域における需要量と供給量を計算しているから大丈夫だとうそぶく方々が沢山います。というか、大多数はそう。
で、ここでの大きな問題点なのですが、①もし、近隣の自治体や県で同じような真似をするプロジェクトが後で出てくるなら、マスタープランなどで調整しているわけではないので、その目論みは完全に破たんすること、②そうした方々は、地域で供給できる木質バイオマス(チップ)の量を、地域にある森林面積やその蓄積から推計して計算していることがほとんどであることです。
いや、そういうポテンシャルからの計算(とらぬ狸の皮算用)は、材料をわざわざ運び出す必要のない太陽光発電や風力発電の場合は有効ですが、木質バイオマスの場合は意味がありません!
これでやったことで、ドイツでも、オーストリア(ウィーンやギュッシングなんか本当に死んでいます)でも手痛い失敗を過去にしたわけです。
例えば、食品廃棄物を原料にバイオガス発電を計画する場合、あるエリアの人口と可処分所得から、食品購入や外食に使える総額を割り出し、それを食材量に変換し、そのうちのロス率を推計することでポテンシャルを導き、施設を建設する人なんかいるはずもないことは自明です。
基本的には、地域で「すでに処分」されている食品廃棄物の量から、それをどれだけ自身の発電に回せるのか営業し、あたりを付けたうえでプロジェクトを開始するのが普通です。でも、この普通が、木質バイオマスになると(太陽光や風力のポテンシャルの意味とごっちゃにして)いきなり消滅するのが怖いところです。
木質バイオマス発電を計画できるのは、地域において、「すでに存在する」木材チェーン産業から、「すでに現状で」どれだけの廃棄物(カスケード利用の最下端なんだから当たり前ですよね)が無駄に処分されているのか調査し、実際に営業してあたりをつけて、計画するべきなんですが、こうした形で計画されているところは皆無です(でなければ、上記で紹介したリンク先のように大量の発電所が計画されるわけがない!)。
ということで、日本で今のところ、持続可能に産業として利用できる木質バイオマスの総量について、ざっと検討してみましょう。
基本的には、発電用の燃料として理性的に利用できる量は、最大でも国産材の製材量の10~20%程度が良いところでしょう。
統計を見ると木材の年間の日本国内の総需要量は7500万m3、国内生産量は2500万m3、輸入量は5000万m3という感じです。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/kikaku/150929.html
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/mokuzai_zyukyu/index.html
その国内の2500万m3のうち、製材としては1500万m3程度です。これが製材された際に、歩留まりではじかれた分のカスケードの最下端と仮定すると、使えてもせいぜい10~20%が良いところでしょう。とするなら、年間150~300万m3程度が(そして建築取り壊しなどで出てくる廃棄物としての廃材を加えたものが)、持続可能な産業としての木質バイオマスの利用可能になります(これでも多すぎかもしれませんが)。
ただし、廃棄物の廃材については、すでに日本ではセメントや製鉄などの分野で、石炭に混燃させる取り組みが90年代から行われ、需要のほうが供給を上回る感じだったわけですから、純粋にFITで進めて良いのは、全国で例えば5MW出力(年間チップ消費量10万m3)の木質バイオマスの発電所であれば、最大でも15基程度で終了です。
ということで、発電出力であれば、「現状!」の日本の川上の森林産業の力量であると、最大でも75MW発電出力分、つまり8760時間×設備利用率80%≒5億kWh程度でしょう。これは、国内の総発電量10,000億kWhの0.05%に該当するのみです。
これ以上の発電量を期待するならば、
1.禿山が増加する(そして、その植林コストは税金ですし、災害が発生したら税金で補償するわけです)
2.合板や製紙など、他の低級材を取り扱う産業構造が目茶目茶になる(材料の取り合いでチップが高騰し)、雇用が失われる、地域がより貧しくなる
3.外材に頼るなら日本よりも自然保護関連の法整備が緩い国々で悪影響(乱伐・汚染)を出しながら、大部分は原油を輸入するよりも悪いLCAで、チップやヤシガラを輸入する
4.本来は製材用として使われる予定だったB級材(日本の短寿命の家でも30年間使用され、炭素を固定)までが、瞬時に燃やされて終了のチップとなってしまう
という事柄が発生することは、子どもでも容易に想像できます。
で、今の日本では、これら4つすべてがすでに同時進行で進んでいるところなので、それでもやる方々を、私は放火魔と呼んでいます。
もちろん、今後の話をすれば、
1.日本の山々に20~30年間投資をし続け、森林路網が整備され、
2.最終林形を定めた後(できる限りの大径材、高級材という付加価値を山で作りだす!)、皆伐に頼らない複層林、恒続林という形で、
3.高い職業訓練と厳しい安全教育を専門の学校でしっかりと受け、最新の防護設備、機械設備など適材適所で駆使して、多くの山々がプロの手によって整備され、
4.製材所や森林組合は、安易なエネルギー供給で将来を潰すような真似をせず、地道な営業努力と商品開発、市場開拓を続け、木材チェーンを盛り上げ、
5.それぞれの川上の木材チェーンの生産性が高まることで、品質、価格ともに外材を上回るようになり、
6.国内の木材需要である7500万m3をほとんどすべて国内で処理するばかりか、場合によっては相当量を輸出にも回せるようになるなら、
7.国内で産業として消費しても良い木質バイオマスの総量は上記の10倍の1500~3000万m3、5MW発電出力の木質バイオマス発電所が150基程度(国内の発電量の0.5%程度)にまでは上昇させることも、30~40年かけると、持続的に可能になるはずです。
ただし、上記の順序ではなく、いきなりカスケード利用の最下端の燃料利用として、森の木を燃やし始めている日本では、(せっかく戦後の拡大植林したものが育って、いよいよ何かの手を打てるようになったばかりの状況なのに)これらが叶えられるわけはないことも、子どもに対してであっても説明すると理解してくれます。
まあ、頭の中がカネばかりの人たちには、また、給料分の仕事をしていないのに、給料を得ている老害たちが沢山の日本の山間部の多くでは、こんなこと書いてみてもほとんど意味がないのでしょうが…
2017年
8月
10日
木
ドイツMV州・風力発電事業に住民の資本参加を義務付ける法について
ドイツで再生可能エネルギーの推進、およびエネルギーシフトに対して、国民の受容度が高いのは、基本的には地域の市民出資による市民エネルギー組合だとか、合資会社だとかで、風力発電や太陽光発電などのプロジェクトを、その地域に住んでいる住民自体が推進しているケースが、日本と比較して、飛躍的に多いという理由もあります。
日本でも、ドイツでもポテンシャルの高い太陽光や風力による発電は、従来型の化石燃料などと比較してエネルギー密度の低いエネルギーを利用することから、それを収穫して、ある一定量の規模で使おうとすると、これまで海岸沿いにポツン、ポツンと設置してあった火力・原子力発電所が必要とした土地消費量をはるかに上回る土地が、全国に面状に必要になるという性格を持っています。
ということで、ピンポイントでの地元対策だけではなく、全国面状に再エネの推進に対する市民、国民の受容度を高めないことには、大きな規模での進展はありえません(もちろん、民主主義的にやらないなら、何でもありなんですが)。
ということで、一部の事業者(往々にして、大都市部に立地する大企業や裕福層)だけが、FITによる(再エネ設備設置による)利益を享受し、FITの賦課金は国民が横並びで負担し、同時に全国津々浦々再エネ設備の負の影響(土地消費、景観の変化、騒音、自然破壊など)を国民が受けるようになると、どこかの段階で「再エネの推進=悪」という社会正義が出来上がってしまうことになります。
そうした意味では、今の日本はこれ以上想定できないほど最悪の路線を一直線で進んでいるように見受けられますし、ドイツはそうならない道を常に(妥協しながらも市民の抵抗で)選択して、進んできたように観察できます。
その王道が、再エネ設備が立地する場所の地域住民が、その再エネ設備に投資し、利益を享受することで、受容度を高めるという取り組みです。
とはいえ、こうした市民出資、市民組合による大規模・営利プロジェクトという経営精神と強い自助精神を必要とする取り組みは、ドイツのどの地域でも、同じ強さで行われているわけではなく、とりわけ南部では強いですが、旧東ドイツや北ドイツでは弱いという傾向があります。
ということで、政治的に、今まで以上に市民による投資参加を促したいメクレンブルク・フォアポメルン州(MV州)では、ドイツでははじめてとなる以下のような法律を施行しています(チューリンゲン州でも検討中、デンマークがお手本)。
この法律は「ウィンドパークへの自治体・市民参加法」と名付けられ、2016年5月末から施行されました。
具体的には、この州内で風力発電を開発する事業者は、
①投資総額の最低20%を地域出資に(風車から直線距離で半径5km以内に居住する住民に10%+風車設置から5km以内に領土を持つ自治体に10%ずつ)提供しなければならないことが義務付けられています。また、市民出資の場合、一口は500ユーロ以下にすることが決められています。
②対象は高さが50m以上の風力発電
③そして資本参加の提供ではなく、代替案としては、
・自治体の同意があれば、風車設置から5km以内に該当する自治体が毎年一定額の支払い(この風力発電事業で得られる利益の10%)を受けることで免除されます。
・市民に投資参加を促さない場合は、該当する地域住民に対して貯蓄商品を提供することで免除されます。例えば、風力発電事業者は利益の10%を毎年適当な銀行に一旦預入します。その銀行は、該当する5km以内の市民がそこで定期預金を組む場合(3~10年で満期とする元本保証)、その利子を、毎年繰り入れられる風力発電からの利益で支払うことになりますので、かなりの利回りが期待できるという仕組みです(かつ、リスクが少ないので、投資に慣れていない市民も利用しやすい)。
もちろん、風力発電事業者の所有権を侵害する可能性の高い法律ですが、同時に、これによって風力発電への地域住民の受容度が高まるなら、反対運動などにあって、計画が遅延したり、最悪中止になるようなリスクを低減させることができます。
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もう、こういうの日本でも即時に必要じゃないでしょうか?
日本では、乱暴な方々が全国各地ですでに暗躍していますから、あと5年もすると、(メガソーラーと同様に)国中が風車反対だらけになりそうです。
2015年
7月
23日
木
ドイツのエネルギーシフトを日本に当てはめていたら?
ドイツでは2015年7月の現在でも、エネルギーヴェンデ(エネルギーシフト)は、進展を続けています。
当然、他の先進工業国でもこれだけのスケールで実施している前例がない戦略、政策であり、ドイツ国内にも様々なステークホルダーがいますから、問題がまったくなく、快調に邁進しているのか、と問われれば、直進する道ではなく、山あり谷ありの茨道で、走りながら考え、一時は停止し、またスタートし、ということで順風満帆ではありません。ただし、毎年、毎月、毎日、少なからずも定めた目標(2050年のビジョン)にだけは向かって少しづつでも進んでいる、進歩していると評価することがいえるでしょう。
日本では、これらについては一方で礼賛する勢力があり、他方でそれに対して反論する、というか全く評価しない勢力がありと、なかなか真実が伝わっていない様子であることは、私のような仕事をしていると、ダイレクトに感じます。
例えば、バブル気味だった太陽光発電の普及について、徐々にブレーキをかけておくべきだったのに、政治的にいろいろな関心で、その対応が遅れ、ドタバタし、結局は一旦仕切りなおしでストップさせなければならなくなったことを捉えて、「ドイツのエネルギーシフトは頓挫した(失敗した)」というような声を上げている人、団体も数多くありましたし、そうした事象にはできるだけ触れないで、進展の目覚ましいところだけをいいコト取りして、「ドイツは素晴らしい」と持ち上げる人、団体もあります。
当然、こうした前例がない試みは世界中からの関心を集めており、で、あればこそ、そこには様々な思惑、視点、立場、考えによって、様々な評価が下されるのは当然です。また、こうした大きな関心が集まる事柄に対して、一つの意見しか出ないのでは、健全でも何でもありません。
でもね、もうちょっとエネルギーシフトの全貌を知った上で、細々した事象について語ろうよ、という自分がいます。大切な「森」のほうについては情報共有や理解が進まないまま、日々の細々とした「木」のほうばかりに議論が集中しているような気になるんです。
ということで、今回、ドイツの各種のエネルギーシフトにおける目標値、そして現状と出発点を整理し、同時に、本筋の対策の意味、意義について、エネルギーフロー図、つまり一次エネルギー供給と最終エネルギー消費の観点から、何のためにそのような試みをしているのかわかりやすい形でレポートしてみよう、と思い立ちました。同時に、そのドイツでの本筋の取組みを、もし、日本のエネルギー供給、消費の状態に代入してみると、何が見えてくるのか? そんな試みをレポートの中では取りまとめて見ました。
基本的には、ドイツは2050年までに、一次エネ供給量を半減し、化石・原子力に頼らない社会をわずか3つの対策(電力の再エネ化、自動車交通のEV化、建物の高断熱化、高気密化)で実施することができますし、その方向で進展しています。日本に当てはめてみると、4つの対策(電力の再エネ化、自動車交通のEV化、建物の高断熱化、高気密化、そして給湯エネの省エネ化・再エネ化)が必要になることも明らかになりました。
15ページの計算式の多いレポートになってしまいましたが、使っている計算は足し算、掛け算のみです。
ご興味のある方は、多少の時間を投資して、レポートを読み解いていただければ幸いに思います。
※なお、このレポートは私の個人的な見解です。文中に使用しているエネルギーフロー図は、ドイツ経済・エネルギー省の「エネルギーデータ」、日本のエネ庁発行の「エネルギー白書」から出典を明示した形で掲載しています。
2014年
6月
30日
月
共著の出版『ドイツの市民エネルギー企業』
学芸出版社より、『100%再生可能! ドイツの市民エネルギー企業』が出版されました。
共著者:村上敦・池田憲昭・滝川薫(MIT Energy Vision GbR)
A5判・204頁・定価 本体2200円+税
2014年6月発売
ISBN978-4-7615-2573-6
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ドイツの再生可能エネルギー増産を牽引するのは、地域に密着した企業活動。市民が起こしたエネルギー株式会社、エネルギー組合、自治体のエネルギー公社 等、代表的なビジネスモデルを現地のジャーナリストが紹介。エネルギーのしくみを変える社会とは?その実現に必要なことは?エネルギーヴェンデ(大転換) の最前線に探る。
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共著『100%再生可能! 欧州のエネルギー自立地域(学芸出版)』の出版から2年。欧州のエネルギー自立、100%再生可能エネルギー地域を目指す「地域、自治体」をテーマに、事例や背景情報を取り上げた前著でしたが、今回は、エネルギー自立を目指す際、その原動力となっている市民エネルギー企業、市民エネルギー組合、自治体のエネルギー公社など、ドイツにおける再エネ推進の「ステークホルダー」をテーマに、その事例とその背景を本書では描きました。
1991年施行の〈電力供給法〉、2000年施行の〈再生可能エネルギー促進法(EEG法)〉というドイツにおける再エネ電力の買取制度(FIT制度)がはじまってからすでに10年以上。その間、再エネ設備を着実に設置するために投資を行ってきたのは、電力大手ではなく、とりわけ市民、農家、中小の地域の企業でした。それが地域経済における付加価値の創造につながり、価値の創造が行われていると理解した地域は、地域内のお金、投資によりさらなる投資を実施しています。
その過程で生み出された市民エネルギー企業や組合や、その過程における自治体公社や自治体の役割は、ドイツのエネルギーシフトを読み解く文脈ではどうしても理解したいもの。それに答える形の内容になっています。
日本でもFITがはじまり、太陽光発電の設置が急増していますが、大手資本や大企業の投資が目立ち、なかなか地域内のお金で投資される状況には至っていません。地域外からのお金で再エネを設置しても、地域の外にお金、経済価値はそのまま逃げてしまいます。
だからこそ、すでに実績があるドイツの事例は参考になります。人口減少の地域社会で、今、経済価値の創造を行うことのできる最大の対象がエネルギーです。このチャンスを日本全国の地方が活かすことを願ってやみません。
2014年
3月
24日
月
訳書出版『メルケル首相への手紙 ドイツのエネルギー大転換を成功させよ』
世界最大の再生可能エネ施設のデベロッパーJUWI社の創業者マティアス・ヴィレンバッハー氏のベストセラー『メルケル首相への手紙~ドイツのエネルギー大転換を成功させよ』の出版日が確定いたしました。
クリスマス・プレゼントということで、12/24の発売です(Amazon)。
本書では、ヴィレンバッハーがメルケル首相にアンモラル(?)な提案を行います。もし、これまでのように彼女が既存エネルギー大手の言いなりで既得権益確保 のためにエネルギーシフトを阻害し続けるのではなく、適性な枠組みを政治として形作り、エネルギーシフトを推進するなら、彼の所有するJUWI社の全株式 を提供するというディールです。
私はとくにドイツ・バンザイ主義ではありませんし、ドイツでもエネルギーシフトに対しては、当然、推進派 と懐疑派がいることは承知しています。またエネルギーシフトに対する抵抗勢力も大きなものがあります。しかし、手工業組合、農業関係者、さらに市民の大多 数は、エネルギーシフト推進側であることも現実として知っています。
現在未だに、秋の総選挙後の新政権の連立協議が終わっていませんが、 秋までの第二次メルケル政権(CDU/CSU+FDP)のエネルギー政策では、明らかに大企業へ利益を還元し、市民により大きな負担を強い、同時にエネル ギーシフトをなんとか押しとどめようとしていました。このへんのドイツの事情が、そのままに描かれている本書は、日本での議論に有益だと思い、本書の和 訳・出版をしようと決断しました。
本書の内容はおおまかに分けて以下の3つになります。
- ヴィレンバッハーは大学生の ころ100万マルクをなんとか仲間と工面して最初の風車を建設します。そしてJUWI社の設立、その後の波瀾万丈の人生が続きます。彼の人生を通じて、再 生可能エネルギーのパイオニアがどのように最先端で考え、動き、対応しているのか、そしてその先に何が見えるのか、それをヴィレンバッハーが語ります。
- ドイツのエネルギーシフトを取り巻く過去の経緯と現在の状況の分析について。
- ドイツがエネルギーシフトできたとしたら、どのような形となっているのか、そのビジョンの提示とマスタープランの提案。
上記のどの部分についても、経営者で現実主義者である彼の論調は、学者やジャーナリストの視点とは異なり、なかなかこれまでにない、再生可能エネルギー関連 の著書だと思います。また、最先端の実践主義者の彼だからこそ提案する「洋上風力とスーパーグリッド、蓄電不要論」、同時に、既存の太陽光、陸上風力での 設備稼働率を倍増させる計画などについては、日本のこれまでの議論にはない新鮮なものです。
皆さん是非本書をお読みいただければと思います。
2014年
3月
23日
日
2014年3~4月 日本での講演会のお知らせ
直前になってしまいましたが、日本を訪れ、各地で講演を行います。
今回も、一般参加が可能なものはそれほど数がありませんが、ご興味のある方は、ご検討いただけますと幸いです。
3月28日(金) 18時~ 旭川市(まちづくりとエネルギーについて)
http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/eventdata/225572.php
3月30日(日) 10時~ 北海道下川町(まちづくりとエネルギーについて)
http://www.town.shimokawa.hokkaido.jp/section/kankyoumirai/Atsushi_murakami_seminar.html
4月3日(木) 18時~ 東京都渋谷区(エネルギーと地域活性化について)
http://rees.doyu.jp/2014-0227-114530.html
4月6日(日) 10時~ 松山市(フライブルク市との姉妹都市交流事業の一環、環境フォーラム)
http://www.city.matsuyama.ehime.jp/bosyu/H26kankyou-foramu.html
それでは、会場で皆さまにお会いできることを楽しみにしています。
2013年
12月
29日
日
日本での講演会のお知らせ(2014年1月&2月)
2014年1月末から2月頭までは、日本に滞在し講演活動を行います。一般参加できる機会は限られていますが、以下の会場で皆さまとお会いできることがあれば、嬉しく思います。それでは、良いお年をお迎えください。
※2014年1/29(水)東京渋谷
詳しくはさくら事務所代表のブログでの告知をお待ちください。もしかしたら、一般参加は難しいかもです。
※2014年1/30(木)米子市
チラシダウンロードは以下参照
※2014年1/31(金)鳥取県北栄町
対象者と席の関係で、一般参加を募集しているわけではないので、町内の方でどうしてもという理由のある方のみ、直接北栄町役場にお問い合わせください。
※2014年2/1(土)八戸市
Facebook
チラシダウンロードは以下参照
※2014年2/4(火)静岡市
Facebook
チラシダウンロードは以下参照
2013年
12月
10日
火
日本での活動報告(10月末~11月初頭)
10月末~11月初頭にかけて日本に帰国、各地で講演活動などを行ってきました。今回の渡航の目玉は、ドイツ国交省、持続可能な建築部部長で事務次官のハ ンス=ディーター・ヘグナー氏をお迎えして東京と高松で開催した『日独サスティナブル建築フォーラム』の開催(村上はパネルディスカッションの司会を務め
ました)、そして滋賀県での嘉田知事と村上でのコラボ『再生可能エネルギー県民シンポジウム』の開催でした。
『日独サスティナブル建築フォーラム』について(パネルディスカッション導入の村上プレゼン資料のDLもあり)
『再生可能エネルギー県民シンポジウム』について(嘉田知事のプレゼン資料のDL)
嘉田知事のFacebookでのレポート
そして、久留米大学など他会場でも数多くの講演を行いました。
主催者、関係者の皆さま、そしてご来場頂きました皆さま、ありがとうございました。
2013年
7月
10日
水
7月の講演会のお知らせ
皆さま、こんにちは。
これまでに私自身が体験したことのない長い、長い冬が続いたドイツの気候も、初夏には100年に1度の大洪水、その後は気温が40度近くになるアフリカからの熱波など追い打ちでの異常が続いていましたが、先週からは落ち着きを取り戻し、気温25~30度、湿度の低い気持ちの良い夏日が続いています。
日本は今現在、猛暑ということで、あの湿度を連想するだけで、帰国を前にして、すでにビビってしまっていますが、7月後半には、日本を訪れ、各地で講演をさせて頂きます。
最近は、閉じられた会での講演の機会が多くなってしまって恐縮ですが、今回、一般参加いただけるものは、以下のようになります。
2013年7月27日(土) 久留米市・久留米大学御井学舎・学生会館3F
・10~12時 講演:ドイツの森林政策について(講演のみの参加費は500円)
・13~17時 座談会:ドイツの環境・エネルギー政策に関する大質問会(全日参加費は3000円、学生1000円)
2013年7月29日(月) 岐阜市・岐阜駅じゅうろくプラザ
・13:30~17時 シンポジウム:人口減少時代の都市政策(参加費無料)
2013年7月31日(水) 八戸市・八戸工業高等専門学校・講義楝3F
・17:20~19:30 エネルギーフォーラム:地域エネルギーの住まいと暮らしで地域を活性化するために(参加費無料)
皆さまと日本の会場でお会いできることを心から楽しみにしております。
2013年
6月
27日
木
中欧視察セミナーのお知らせ
MIT Energy Vision GbR社は、日本のエネルギーシフトを中央ヨーロッパから支援することを目的に、欧州在住の村上敦、池田憲昭、滝川薫が2012年3月にドイツで設立した会社です。
2012年8月と10月に開催したMITの中欧視察セミナーでは、2回とも定員ほぼ満杯。合わせて約30名の方々に参加いただきました。
非常に好評でしたので、2013年も継続することにしています。今年は下記の通り、春と夏と秋、合計3回のセミナーを企画しています(春と夏の募集はすでに終了しました。残すところ、今年の開催は秋のみです)。
テーマは、再生可能エネルギー、エコ建築、森林、農業、地域のエネルギー自立です。
リンクをクリックすると、プログラムの詳細が見られます。
10月6日~12日
マインツ市近郊にある再生可能エネルギーの新鋭企業Juwi社 からはじまり、フライブルク市、ボーデン湖北の市民企業ソーラーコンプレックス社の事例を見学、その後バイエルン州の革新的村ヴィルポーツリード村を訪 れ、最後は大都市ミュンヘンで終わるセミナーです。
エネルギー転換とエネルギー自立を推進する様々な形態の組織や団体を知ることができます。
MIT中 欧視察セミナーにおいては、再生可能エネルギー利用や省エネルギー、エコ建築、環境配慮型交通、自然資源の多面的で持続可能な活用に積極的に取り組む中欧の先進的な自治体や地域の事例を視察します。
五感を使って統合的に理解してもらうことをコンセプトにしたセミナーです。
専 門家として10年以上にわたり、 中欧のエネルギー分野や環境分野の先進情報を日本に向けて提供し、日欧の交流を促してきたMITのメンバーが、現地視察の合間に組み入れたレクチャーや ワークショップにより、事例の背景にあるコンセプトや制度、補足情報もしっかり提供し、日本のエネルギー転換、地域振興に関して、一緒に議論します。
皆さんのご参加を一同楽しみにしています!
2013年
3月
11日
月
キロワットアワー・イズ・マネー
さてさて、2012年の上半期を使って、時間をひねり出して、本を執筆しました。
『キロワットアワー・イズ・マネー』というタイトルで、いしずえ出版から9月上旬に出版されます。
本書は、
第一章:日本の中・長期的な社会の将来予測(とりわけ人口減と地域格差について)
第二章:上記の視点から、それぞれの地域にお住まいの方々が、何を選択すると、自身にも、地域経済にも利益があるのかを提案。
第三章:同じく、地域の企業、政治、行政は、何を選択すると、自身にも、地域経済にも利益があるのかを提案
第四章:とりまとめ
という構成で、コラムとして「市民の幸せとは何か」について、ドイツの知見も紹介しています。エネルギー、地域経済、地域住民の幸せがテーマになっています。
2050年までにエネルギーシフトを行うことを政策で定め、すでに取り組みを開始しているドイツですが、それが地域の経済にどんなインパクトを与えるの か、人びとの暮らしにはどのような変化があるのか、すでにドイツで得られている知見を紹介しながら、日本での活用を模索します。
地域への経済のインプットの増加が見込めない人口減少地域においては、まずはGDPを分析して、地域外へのアウトプットとなるお金の流出を最小限に抑えることが肝要です。
エネルギーの流れは、驚くほど大きな額のそのお金の流れそのものでもあるので、上記のタイトル(タイム・イズ・マネーからのパクリですが)になりました。
「kWh=¥」の公式をどれほど深く理解して、大きな流れの中で、自身の地域に¥を循環させるのか、それを今から行う自治体と、そうしない自治体とでは、10年後、20年後の姿は当然異なります。
それがひいては、自治体間競争の勝敗の要因へとつながり、それによってどのように、他地域からの流入人口で、自地域のGDPや人口規模を確保する戦略を描くことができるのか、ここが本書のテーマとなります。
ということで、本書は、日本という国を救おうというお話ではありません。
急激な人口減少がプログラムされている今の日本の人口動態では、100%確実な話ですが、全土を均一に今のレベルに保ってゆくことはできません。2050年には、半数近くの自治体が消滅しているはずです。
全部を救いたかったのだったら80年代にやっておくべきだったでしょう。つまり、今は、もはや手遅れ、遅すぎた状況が現実です。
つまり、本書は、やる気や思いのある自治体や地域の方々が、他の地域はさておき、前進しようとするときに、参考になれば良いかなという思いで執筆しています。まあ、首都圏と名古屋圏の人には、あまり関係ない話ですね。
ただし、これは政治的な本ではありません。
個人、個人で、あるいは地域の中小企業が、実際にどのような行動をすることで、自身が今の瞬間も不利益を得ないで、中期的に地域社会に富を流通させることができるのかという方法論に、紙面を大きく割いています。
通常であればアマゾンのアドレスからの告知となるのが普通ですが、本書ではそもそもそれをおすすめしていません(首都圏、名古屋圏の方には、後日、アマゾンのアドレスをお知らせします)。
地域経済のGDPためにということで、まずは手はじめに一つの実践をおこなってみようじゃないかということで、出版社とも協議した結果、ご興味のある方には、以下のような手続きでご注文頂きたく思います。
1.以下の出版社の本のページをクリックして下さい。
http://www.ishizue-books.co.jp/
2.本のページから、『キロワットアワー・イズ・マネー』の注文書のPDFがダウンロードできます。お手数ですが、DLしていただいて、印刷して下さい。
3.それをお近くの最寄りの本屋さん、できればチェーン店ではない、地元資本の経営の本屋さんにお持ちいただき、ご注文の希望冊数を言い、ご注文ください。どんな本屋さんでも、その注文書があれば、直接出版社に本を注文できます。
4.ただし、そうした出版社への直接発注をあまりした経験のない、つまり、取次店の言いなりの本屋さんでは、もたつくこともあるでしょう。ただし、今回は 実験です。申し訳ありませんが、粘り強くお待ち下さい。これまで、私たちの仲間が全国各地で試みたところ、注文すらできなかった本屋さんはありませんでし たから。
5.これで、出版社からその本屋さんへ本が送られ、本屋さんでは売上が立ち、取次店にあまり多くの金額を搾取されることなく、皆さんがお支払いした本代 は、本屋さん、配送屋さん、出版社に分配されることになりました。細かな話ですが、地域の自治体の税収も見込めるはずです。アマゾンでの注文とは、少しお 金の流れが変わったことに気が付かれることでしょう。
6.もちろん、本屋さんに出向く手間は必要です。戸惑う本屋さんの相手もしてあげなくてはなりません。それでも、もしあなたがお住まいの住民すべての方が、本の注文をそうしたと仮定したら、どれぐらいの経済効果がでるのか、ご想像下さい。
7.こうした積み重ねについて、エネルギー、住まい、移動、交通、買い物、事業など、様々な分野で提案しているのが、本書だと言うわけです。
念のためアマゾンのアドレス
2013年
3月
10日
日
100%再生可能エネルギー
2013年
2月
17日
日
2013年3月の講演会のお知らせ
皆さま、こんにちは。
3月初旬~中旬にかけて日本に帰国し、各地でシンポジウムへの出席、講演を行います。
いつものように一般の方の参加が自由でないものも多いのですが、いくつかはご自由に参加いただけます。
アクチュアルな事例や内容を準備していますので、ご興味のある方は、是非ご参加下さい。
皆さまとどこかでお会いできる機会があれば大変嬉しく思います。
3月3日(日) 杉並区 あんさんぶる荻窪 14時~16時 参加費無料
(注:区内在住、在勤、在学者に限定。ただし、定員に満たない場合は区外からも参加の可能性あり)
すぎなみ環境情報館 講演会&質疑応答 『地域を豊かにするドイツのエネルギー自立』
内容:
・エネルギー自立とエネルギーシフトの意義、意味、本質について
・ドイツのエネルギーシフトにかかわる政策、現状について
・社会的、法的、経済的な背景を事例を用いながら紹介
・いくつかのエネルギー自立事例を紹介
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/
3月4日(月) 栃木県佐野市 佐野市文化会館小ホール 18時半~21時 参加費無料
佐野市、佐野市環境ネットワーク会議、エコロジーオンライン主催
シンポジウム『再生可能エネルギーが地域を救う』
講演『EUで活発化する再生可能エネルギーによるまちづくり』
内容:
・エネルギー自立とエネルギーシフトの意義、意味、本質について
・ドイツのエネルギーシフトにかかわる政策、現状について
・社会的、法的、経済的な背景を事例を用いながら紹介
・いくつかのエネルギー自立事例を紹介
3月5日(火) 千代田区 毎日ホール 13時20分~17時半 参加費:3000円
ソーラーシティジャパン主催 シンポジウム『地域エネルギーが地域経済を救う!』
講演『ドイツに学ぶエネルギー自立地域』
内容:
・エネルギー自立とエネルギーシフトの意義、意味、本質について
・ドイツのエネルギーシフトにかかわる政策、現状について
・社会的、法的、経済的な背景を事例を用いながら紹介
・いくつかのエネルギー自立事例を紹介
3月7日(木) 札幌市中央区 かでる2・7 13時半~17時 参加費:無料
北海道造園緑化建設業主催 植生技術講習会
講演『フライブルク市のまちづくり~緑の市民による緑の街』
内容:
・ドイツの自然保護法と建設法典による緑のまちづくりについて
・フライブルク市の緑の施設政策と現状
・社会的、法的な背景などを事例を用いながら紹介
3月8日(金) 鎌倉市 鎌倉商工会議所ホール 18時半~20時40分 参加費:2500円
ちきゅうのこ22プロジェクト主催 シンポジウム『実践・鎌倉2050年へのまちづくり!』
講演『ドイツのエネルギー自立地域』
内容:
・エネルギー自立とエネルギーシフトの意義、意味、本質について
・ドイツのエネルギーシフトにかかわる政策、現状について
・社会的、法的、経済的な背景を事例を用いながら紹介
・いくつかのエネルギー自立事例を紹介
3月12日 大阪市北区 大阪市中央公会堂 14時~16時 参加費無料
北区役所市民協働課 北区環境講座
講演『都市型地域における環境、エネルギー政策』
内容:
・エネルギー自立とエネルギーシフトの意義、意味、本質について
・ドイツのエネルギーシフトにかかわる政策、現状について
・社会的、法的、経済的な背景を事例を用いながら紹介
・ドイツ、スイスでの都市商業地区におけるエネルギー自立事例を紹介
http://www.city.osaka.lg.jp/kita/
2012年
10月
15日
月
10月、11月講演会のお礼
今回、1週間の森林ワークショップと丸一日かけた未来の交通をテーマにしたワークショップ、そして3つのシンポジウムへの参加と10を超える講演会を開催、参加することができました。
2030年、2050年の人口動態、およびその将来の時点での日本の置かれている状況予測の話のところでは、様々な批判も浴びましたし、快く思わなかった方も多かったと聞いています。
ただし、私自身の考えについては、ほとんどの場で関係者、あるいは参加者の皆さまが注意深く聞いてくださりましたし、各地で興味深いディスカッションをすることもできました。
今回の各種の企画の主催者の方々、および関係者でお手伝いいただいた方々、そして何より各地での企画にお集まりいただき、注意深くお話に耳を向けて下さった方々、心より感謝を申し上げます。
現在、ドイツに戻り、公私共にバタバタとしている現状ですが、来年の3月に再び帰国し、各地で講演会を行う準備もすでにはじまっています。今後とも、ご興味があれば、日本で皆さまとお会いできる機会があることを心から楽しみにしております。
===============================
10月下旬から11月中旬にかけて日本に帰国し、各地でシンポジウムへの出席、講演、ワークショップを行います。一般参加がかなわないものが多いのですが、いくつかはご自由に参加いただけます(リストはこれで完成しました)。
ご興味のある方は、是非ご参加下さい。
10月26日(金) 岐阜市 じゅうろくプラザ 14時半~16時半 参加費無料
テーマ:シンポジウム「人と自然のつながりって何だったっけ?」
http://www.city.gifu.lg.jp/c/40120655/40120655.html
10月27日(土) 久留米市 久留米大学御井学舎 13時~17時半 参加費無料
テーマ:シンポジウム「これからの都市デザイン コンパクトシティの実現をめざして」
http://www.kurume-u.ac.jp/announce/kouhou/info2012/20120047.htm
10月28日(日) 久留米市 久留米市役所2F「くるみホール」 全日(9時~17時)参加費、一般3000円、学生1500円
テーマ:ワークショップ「久留米の未来の交通」(『未来工房』の手法を用いる)
ワークショップの詳細については、以下からチラシ、参加者への呼びかけ文をDLしてください!
11月02日(金) 岐阜県高山市 市役所地下多目的ホール 19時~21時 参加費無料
テーマ:講演「飛騨高山でエネルギー自給自足を実現するために」
11月09日(金) 岐阜県恵那市 恵那文化センター集会室 13時半~16時半
テーマ:シンポジウム「ドイツフォレスターが語る 森づくりシンポジウム」
(村上は通訳のみです)
11月10日(土) 岐阜県恵那市 東濃地域木材流通センター 14時半~17時 参加費有料
テーマ:講演「日本のエネルギー自立を考える 建築関係者ができることは?」
(建築関係者向けの講演です)
http://wood-ac.or.tv/index.htm
11月11日(日) 岐阜県大垣市 大垣市情報工房 13時~15時 参加費有料:1000円
テーマ:講演「地域経済を豊かにする~ドイツのエネルギー自立の事例から」
11月14日(水) 福島県福島市 福島大学L1教室 13時~15時 参加費無料
テーマ:講演「ドイツ自然エネルギー政策とまちづくり」
2012年
8月
07日
火
7月の講演会のお知らせ
先月、7月は日本各地で沢山の講演、セミナーを行わせていただきました。
すべてのご来場いただきました皆さまと関係者の方々に感謝。ありがとうございました。
次回の日本訪問は10月後半から11月中旬を企画しております。ほとんど日程が埋まりつつあるのですが、プログラムが完成したら、またお知らせしますね。
それでは、日本は暑い日々が続いていると思いますが、お体にはご自愛下さい。
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HPをご覧になった皆さん、ありがとうございます。村上です。
7月中旬から日本に2週間ほど滞在するのですが、講演の機会がありますので、ここで告知させて下さい。
7月14日(土)14~17時、東京・渋谷区神宮前(建築家会館)参加費1000円
JIA環境セミナー テーマ:欧州のエネルギー自立地域
お申込みなど詳しくは以下のWEBサイトからチラシをダウンロードして下さい。
http://www.jia.or.jp/index.html
7月15日(日)15~17時、東京・渋谷(大学生協渋谷会議室)参加費無料(ただし、学生さん優先での申し込み受付です)
大学生協テーマのある旅セミナー テーマ:欧州のエネルギー自立地域
お申込みなど詳しくは以下のWEBサイトからチラシをダウンロードして下さい。
http://www.withnavi.org/ryugaku/seminar.html
7月18日(水)18~21時、京都(ハートピア京都)参加費800円
環境市民20周年記念セミナー テーマ:地域から持続可能な社会をつくる
お申込みなど詳しくは以下のWEBサイトからチラシをダウンロードして下さい。
http://www.kankyoshimin.org/modules/join/index.php?content_id=98
皆さまとお会いできる機会があれば、嬉しく思います。
2012年
2月
28日
火
3月の講演会のお知らせ
3月に日本に渡航し、各地で講演会を行いました。
関係者の皆さま、ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。
一般参加できるものは、以下の3つしかありませんが、機会がありましたら、ぜひお会いしましょう。
1.3月15日(木)、勉強会13時半~、福島市
再生可能エネルギーによる地域経済の活性化の勉強会です。詳しくは、チラシをご覧下さい。
2.3月18日(日)、セミナーは午前中、午後からはワークショップ、長野市
私、村上敦とフライブルク大学森林学部卒業の森林科学ジャーナリストの池田憲昭が、長野市内で、一日をかけて、セミナー&ワークショップを行います。ワークショップは、ドイツでは一般的な未来会議の手法を用います。
とりわけ人口縮小時代における地域経済の活性化の鍵として、木材産業をどのようにして活性化するのか、そして省エネをはじめとするエネルギー問題をどのように捉えるのか、非常に面白い一日になるように準備しています。
チラシは以下からダウンロードいただき、ご希望の方は、お早めにお申し込みください。
3.3月21日(水)、午後~、名古屋市今池
私が発起人をしております「一般社団法人クラブヴォーバン」とアドヴァイザーを務めている「一般社団法人 日本エネルギーパス協会」が共催して、地域経済、環境問題、エネルギー問題、そして住宅や建築について、今後を占う意味で、ドイツの事例を紐解いたり、日本での流れを説明するセミナーを開催します。
登壇予定者は、私、村上と前述の池田憲昭氏、クラブヴォーバン代表の早田、その他を予定しています。
チラシは以下からダウンロードいただき、ご希望の方は、お早めにお申し込みください。
2011年
12月
23日
金
2011年、本年もありがとうございました
皆さま、村上です。
2011年3月11日、東日本大震災がありました。まずは、この震災で被害に遭われたすべての方に、心からのご回復といち早い地域の復興を願っております。また、亡くなられた多数の方のご冥福を心よりお祈り申しておきます。
本年は私自身にとっても激動の年でした。それでも何とか健康でこの年を越せそうなことに対して感謝しております。
2011年度中に、お世話になった皆様方には心から御礼を申し上げます。
まずは皆さま、良いクリスマスを。そして良いお年をお迎えください。
ich wuensche ihnen eine schoene weihnachtsfeier und ein gutes neues jahr!
村上 敦
2011年
10月
17日
月
11月の日本における講演会、セミナー、シンポジウムについて
2011年10月20日~11月16日まで、日本に帰国しまして、全国各地で講演会、セミナー、シンポジウムなどに出席します。今回は、とりわけ再生可能エネルギーの推進のドイツでの事例を中心に紹介させていただく予定です。
いつものとおり、企業や自治体職員向けのものが大部分なのですが、一般の方にご参加いただけるものもいくつかあります。もし、皆さまにお時間の余裕があり、ご参加いただけるのであれば、非常に嬉しく思います。
11月3日(祝日)全日、または午後のみ13.30~17.30 さいたま市浦和区浦和高校麗和会館 「ゼロ・エミッション住宅シンポジウム」
詳細は以下からダウンロードできます
11月5日(土) 15.00~17.00 宇都宮市ララカフェ 「ドイツの再生可能エネルギーの推進について」
プログラムと申込書は以下からダウンロードください
11月6日(日) 14.00~16.00 福島市コラッセふくしま 「ドイツの再生可能エネルギーの推進について」
プログラムと申込書は以下からダウンロードください
11月7日(月) 14.00~16.00 二本松市 「ドイツの再生可能エネルギーの推進について」
プログラムと申込書は以下からダウンロードください
11月8日(火) 13.40~16.30 東京都千代田区総評会館 「日本版建物のエネルギー表示制度について」
!!!申し訳ありませんが、満席となりました!!!
詳細は以下からダウンロードできます
11月12日(土) 11.40~13.10 久留米市市民会館 「ドイツの再生可能エネルギーの推進について」
プログラムと申込書は以下からダウンロードください
2011年
8月
20日
土
PJ25、および日本での講演会について
下記の通り、日本各地で講演会、イベントが無事に執り行われました。関係者の皆さま、および、講演会などにわざわざ足を運んでいただいた参加者の皆さま、ありがとうございました。次回の帰国は、10月20日~11月16日の予定で調整中です。詳しい内容が決まり次第、ここに報告します。
=====================================
2011年7月27日~8月13日の予定で、日本での講演活動をすることに決まりました。
日本に滞在中の予定はすべて埋まりましたので、もし講演開催のご希望がありましたら、次回(10月20日~11月16日の予定)には可能な日もありますから、是非お問い合わせください。
また、2011年8月10日(水)には、クラブヴォーバンで開催している連続講座、PJ25(プロジェクトCO2マイナス25%)において、毎日新聞社で14時(予定)からセミナー&シンポジウムを開催します。
ドイツから省エネルギー設計のプロを呼んでおり、建物の燃費測定証書(エネルギーパス)について、日本でいかなる可能性があるのか、大いに議論したいと考えています。
参加希望者が多かったので、大きな会場を借りることにし、クラブヴォーバン会員の方以外でも有料(2000円)でご参加できるようになりましたので、ご興味の方は以下をご覧いただき、事前にクラブヴォーバンの事務局へお申し込みください。
プログラムの詳細についても、以下からダウンロードできますので、ご参考まで。
また、その他の講演予定については、一般参加ができるものは以下の通りです(企業、政治関連が多数で、ほとんど一般向けのものがなく、申し訳ないのですが・・・)。
7月30日(土)15時~17時 徳島県徳島市 とくぎんトモニプラザ(参加費500円)
7月31日(日)19時~21時 徳島県上勝町 上勝町コミュニティセンター(無料)
8月07日(日)14時~16時 愛知県新城市 新城文化会館小ホール(無料)
もうすぐ日本に飛びますが、皆さまとお会いする機会があれば、嬉しく思います。
2011年
5月
27日
金
国交省が長期展望を公表しています
国交省が日本の国土が今後、どのように推移してゆくのか、長期展望を発表しています。
ほとんどの地方都市は疲弊し、地方の農村部はほぼ崩壊するという非常に先行きの暗い(かつ起こりうる可能性が非常に高い)将来像が示されました。辛くもありますが、しかしそれも現実です。
私は、人口動態の推移から起こるべき(悲観的な未来の)可能性には目を背けないで、事実を確認し、そしてその事実関係をもとに、豊かな暮らしを実現するためのまちづくりを長年提案し続けています。したがって、ここで示された数々の予測や資料は、未来を検討する上では欠かせない貴重なものですから、一つの未来予測として重要視しています。
ぜひ、皆さまもご一読の上、皆さまのお住まいの地域の将来像について想いを巡らしていただければ幸いです。
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/kokudo03_sg_000030.html
2011年
5月
10日
火
エコピープルでインタビュー記事がUPされました
エコロジーオンラインの栄誉あるエコピープルのインタビューで、東日本大震災後の復興について、とりわけ「まちづくり」と「エネルギー」について語りました。
発起人である社団法人クラブヴォーバンの理念とも一致しています。
ご興味のある方、ぜひご覧ください。
2011年
3月
17日
木
すべての原発の即時停止を
地震発生から今日で1週間が経ちました。
こちらでの仕事も(日本からの取材や視察のコーディネートなど)キャンセルされ、本来は明日から日本で森林再生のプロジェクトに従事するつもりだったのですが、こちらもキャンセル。そのお陰で、かなり多くの時間をこの地震の報道、とりわけ福島原発についてドイツ・日本のメディアを漁るという作業を行なってきました。
遠くはなれた場所、安全な場所、停電のない場所において、意見を発言すること自体、震災の大きさを考えると申し訳なく、また、ためらわれるのですが、それゆえ、今ここでどうしても主張しなければならないことがあります。
主張する点は1つです。
福島の悲劇を繰り返さないためにも、今すぐに日本にあるすべての原発の即時停止を、どうか皆さまお考えになってください。そして、何からのアクションを起こしてください。
私は今まで、ドイツの政策でも採択されているような時間的猶予のある「脱原発」論者でした。ただし、今回の事故によって、これまで強固な「反原発」を訴えなかったことについて大きく反省しています。
これから先、どこかで今と同じような地震など天災が生じ、加えての2次災害として原発事故が起きないように(それは大きな地震の発生確率が高い今、非現実的な話ではありません)、そして人的な何らかのミスで原発事故が起きないように(地震後、明らかになった保安院、東京電力の無能ぶりは十分に証明されたと思います)、即時、全基の原発停止をここに主張します。
私は原子力発電の技術者でもありませんし、危険・安全を判断できる能力があるわけでもありません。一般の方が入手できないような特別な一次情報を持ち合わせているわけではありません。ただし、一般の方と同じレベルの「人間としての理性」は備えているつもりです。
明日から、その理性で、なぜ原発が「即時停止」でなければならないのか、以下にブログ記事を書き連ねてゆきます。その私なりの理由をお読みいただき、1人でも多くの方が賛同されますことを願っています。
2011年3月17日深夜 雨のフライブルクにて
2011年
3月
16日
水
東日本大震災
2011年3月11日、朝起きてネットに繋いだ瞬間、パソコンの画面の中の震災の映像は夢の中のことのようで現実感がありませんでした。
その感覚は、徐々に重みのある感覚としてずしりと響き、それは時間とともに重いものとなってきています。
まずは、この大震災で亡くなられた方のご冥福を心からお祈りしたいと思います。
そして、震災によって被害を受けられたすべての方に、一刻も早い救援と回復、そして復興と豊かさを願っております。
遠くはなれた場所にいて、また、微力で、できることはほとんどありませんが、もし何かできるのであれば、3月11日の日のことを忘れることなく、できるかぎりのことはしてゆきたいと思います。
2011年
1月
08日
土
明けましておめでとうございます
さて、2011年がはじまりました。私にとってはあっという間の2010年でした。
昨年は新たに森林の分野に多くの時間を投資しましたが、今年は専門の交通・まちづくりの分野で何かしらの活動ができればと考えています。
久しぶりに、ドイツでは、環境に関連する新法施行のない年明けとなりました。今年はどうなることやら、楽しみに環境政策の動きも見守りたいと思います。
それでは、今年も何卒、よろしくお願いいたします。
2010年
10月
30日
土
2010年11月、講演会のお知らせ
現在、すでにお仕事で日本に滞在中ですが、11月に日本各地で講演会を行ないます。
残念ながら、一般参加の講演は2ヶ所しかありませんが、もしご興味があればどうぞ。
1.11月13日(土)14時~久留米、えーるピア久留米(都市計画、まちづくりについて)
2.11月19日(金)18時~札幌市立大学サテライト教室(アスティ45ビル12階)(森林政策について)
2010年
7月
25日
日
2010年8月 講演・セミナーのお知らせ
2010年8月中旬から1週間、日本に帰国することになりました。
その他もろもろの仕事が多くて、一般参加が可能な講演は数がすくないのですが、以下に私がコーディネートしている社団法人クラブ・ヴォーバンでのセミナーがありますので、ご興味があればご参加ください。
住宅関係、都市計画関係のになりますので、この業界に関連されていない方、全く予備知識のない方には少し難しいかもしれませんが、質問していただければ、できるだけ丁寧にお答えすることはお約束します。
詳しくは以下のサイトで:
http://www.club-vauban.net/20100725101112010_1.html
2010年
2月
27日
土
新著オンライン出版開始! 日本版 グリーン・ニューディールへの提言 ・・・フィードインタリフ思想が経済を活性化する!
世界的な景気低迷のなか、唯一の打開策として脚光を浴びているのが、アメリカのオバマ政権が提唱する「グリーン・ニューディール政策」です。
その大きな柱は、太陽光や風力を利用したグリーン・エネルギー(再生可能エネルギー)の推進にあります。 そして、グリーン・エネルギー拡大のために必要不可欠なのが「フィードインタリフ(固定買取価格制度)」です。
日本は2009年に入って、環境省が「緑の経済と社会の変革」を打ち出し、経済産業省は"太陽光発電の余剰電力に限って"フィードインタリフの導入案を公表しました。
しかし、それによって果たして新しい市場を開拓することができるのでしょうか? 心もとない政策です。
ドイツの環境政策を10年に渡って調査研究し続けてきたドイツ在住のジャーナリスト村上が、日本のエネルギー政策に大きな危惧を抱き、グリーン・エネルギー産業の拡大は温暖化対策以前に、国の安全保障問題であり、このままでは、日本は国益を大きく損なうと説きます。
金融危機をチャンスに変える可能性のある「フィードインタリフ思想」とはなにか? グリーン・ニューディールの本質とは? 答えは本書に示されています
目次
はじめに
第一章 補助金からはグリーン・ニューディールは生まれない
補助金の持つリスクと非効率性
市場を活性化する「フィードインタリフ思想」
第二章 フィードインタリフという偉業
フィードインタリフの仕組みと概要
日本版フィードインタリフは有効か?
大きな成果をあげているドイツのフィードインタリフ
固定買取価格とその数字の意味
固定買取価格のお金の流れ
フィードインタリフ制度の歴史
フィードインタリフの驚異的な成果
RPS法という不利益な制度
再生可能エネルギー推進は国益のため
ドイツの2020年度予測は、売り上げ13兆円、雇用40万人
内部コストと外部コスト
第三章 太陽光発電を40倍に! 日本の挑戦とその評価
「福田ビジョン」の提示と太陽光発電の助成政策
「福田ビジョン」の目標値は妥当か?
太陽光発電施設、設置コストの減少への期待
世界の手本だった日本のこれまでの助成政策
日本社会のシステム設計を再考すべき時期
第四章 グリーン・ニューディールの本質
これまでのモノとサービスの提供方式
フォーディズムの出現から経済成長至上主義へ
トリプル・クランチを打開するために
新しいモノとサービスの提供方式
資源へ回るお金を人に回す
安価で提供されるモノには外部コストは算入されていない
第五章 外部コストを内部コストへ
日本で、環境税(炭素税)導入は可能か?
排出量取引とカーボン・オフセット
経済的な正と負のインセンティブ
第六章 グリーン・ニューディールによる雇用
再生可能エネルギー分野の雇用効果
地域で生まれる雇用
木材は唯一の自国産資源のはずだが…
高速道路建設か、自転車交通のインフラ整備か
新築ではなく、改築のススメ
エネルギー・リフォームが経済を救い、雇用を創出する
日本版グリーン・ニューディール政策への助言
実現には、専門家による中立機関の設置が必須
おわりに
EOL−WAYS
2010年
2月
22日
月
ブログで動画ニュースの配信をはじめました。
ブログで動画ニュースの配信をはじめました。フライブルクのローカルな話題から、日常のニュースの解説、はたまたドイツの政治の話題まで、環境保護に関連したニュースをお届けします。
2010年
1月
13日
水
2010年1月末から2月にかけて 日本各地において講演会が開催されます
日時:1月25日〜2月9日まで、全国9箇所
今回は残念ながら一般向けのものは少ないのですが、ご興味があれば以下の催しに参加できます。
直前に内容が変更になる可能性もございます。詳しくは、主催者に直接ご連絡の上、お申し込みください
講演開催場所、日時の詳細
1月25日(月)17時〜19時半、浦安市、浦安市文化会館 大会議室
「ドイツに学ぶ・グリーンニューディール政策」
株式会社明和地所主催、参加費:無料
明和地所HP
1月26日(火)17時〜20時、東京都渋谷、東京環境工科専門学校
「低炭素住宅の新基準をつくろう・日本版エネルギーパスの可能性を探る」
クラブ・ヴォーバン主催、参加費:一般5,000円、CV会員無料
ただし、私はパネルディスカッションのパネラーです
1月30日(土)13時〜17時、岐阜県多治見市、多治見市文化会館 小ホール
「都市計画・公共交通シンポジウム」
多治見市主催、一般社団法人クラブ・ヴォーバン協力、参加費:無料
事業家で歌手の藤田志保さんを交えてのシンポジウムです。定員は先着300名さまで締め切り、申し込みは不要です。
2月9日(火)午後、名古屋、または大阪(会場は未定)
「ドイツの低炭素住宅政策とエネルギー政策」
株式会社マングローブ主催、参加費:未定
詳細が決まり次第UPします。
2008年
10月
06日
月
[ドイツ気候温暖化レポート]が完成しました!
ドイツ政府が世界最大で最高の取り組みと最大限に自賛する[ドイツ気候保護パッケージ]の法改正が決議されはじめました
- 電力では「フェードインタリフ改正」「コージェネ法改正」
- 熱部門では「再生可能エネルギー熱法新設」
- 建築部門では「省エネルギー法の改正」
- 交通部門では「車両税のCO2ベース化」「貨物の高速料金のCO2ベース化」「航空事業の排出量取引参入」
などをはじめとする数え切れないほど多くの法律・政令・指針が怒涛のように改正され、新設されています。
これらの取り組みは、通称「気候パッケージ」と呼ばれる29焦点の気候温暖化対策コンセプトによるものです
日本や他のEU諸国でさえも考えられないほどの取り組みをドイツはすでに行いはじめました
新しい分野に雇用を生み出すため、新たな輸出産業を創出するため、そしてエネルギーの海外異存から脱却するために
さらには、子供たちの未来への投資を可能とするために
このレポートは完成しています。ご興味のある方は以下のサイトから有料でダウンロードできます
2008年
7月
28日
月
持続可能なまちづくり、家づくりを支援するイニシアチブ[club Vauban]が活動をはじまめました!
クラブヴォーバン TOPページより
クラブヴォーバンは、環境先進都市ドイツ・フライブルク市において、最も野心的なサステイナブルコミュニティとして世界中から評価されている『ヴォーバン 住宅地』の先行事例に学び、日本国内において『ヴォーバン住宅地』にも負けない“持続可能なまちづくり”を研究・開発しようとする仲間が集うプロジェクト です。自然エネルギー、モビリティマネジメント、エコロジー住宅、造園、地域マネジメントなどの専門家が集い、地球温暖化防止の切り札となる低炭素型のコ ミュニティづくりを目指します。
クラブヴォーバンの考える家・街
クラブヴォーバンが考える家・まちづくりはヴォーバン団地で採用された以下のソーシャル・エコロジーコンセプトをベースとします。
ヴォーバン住宅地で採用されたソーシャル・エコロジーコンセプトの10か条
- 適度な人口密度による住宅地の実現
- 既存の樹木や植生、地形、既存建物を最大限生かす
- 中心部に商業施設と雇用を呼び込み、住宅地のアイデンティティ(独自性)の確保
- カーフリー(カーポートフリー)での住宅地設計
- 近自然工法による住宅地内の緑地(公園など)の確保
- 屋上緑化などの対策を盛り込んだ雨水コンセプト
- コンポスト(堆肥)を主軸とした住宅地内での廃棄物処理
- 省エネ建築様式(高断熱・高気密)による住居設置の義務化
- 地域暖房の導入とコージェネレーションでの発熱・発電
- コーポラティブを主体とした集合住宅の実現
2008年
7月
28日
月
持続可能な低炭素住宅、無暖房住宅に関する本が出版されました!
レポート[豊かな暮らしと子供たちのための低炭素住宅]
石油価格が高騰し、もしかしたら数年後には石油というエネルギー源は、一般の市民には手の出ない高価なものになっているかもしれません。
この先、10年〜30年程度で、普通に車に乗れない社会が表れるかもしれません。あなたの家の冬の暖房は大丈夫ですか? 通勤を続けられますか?
このような時代の流れを充分に理解し、今後10年、そしてそれ以降を見越した家作り、住まいの購入などをそろそろしておくべきではないでしょうか?
ドイツのパッシブ・ソーラーハウスを事例に、将来性ある、自然エネルギーとうまく付き合った家作りについて多角的に書かれたのがこのレポートです。
暮らしとエネルギーについて、化石燃料の枯渇と温暖化について、ここで一度整理しておきたいと考える方に最適なレポートです。
目次
はじめに
第一章 ドイツにおけるパッシブ・ソーラーハウスの定義
パッシブ・ソーラーハウスの誕生とその定義
ドイツの家庭でのエネルギー消費行動
ドイツにおける省エネ建築
パッシブ・ハウス研究所が用いたチェックリストと設計時の指針
パッシブ・ハウスの計画3段階
第二章 家屋のエネルギーコンセプト
パッシブ・ハウス燃費1.5リットルの建物
パッシブ・ハウスの実例 〜省エネのための5本の柱〜
第三章 家屋を取り巻く環境とその他の留意点
ゴミを発生させない家=エネルギー消費の少ない家 〜廃棄物コンセプト〜
オール電化の利点と功罪
新築と改築の環境負荷比較
持続可能な建築の設計、環境性能の高い建材
雨戸と簾を忘れ、間違ってカーテン、ブラインドを取り付ける日本
ベランダ・バルコニーという放熱板、吸熱版
ソーラー温水器と省エネ対策のコストパフォーマンス
「ソーラーシップ」での事例
第四章 日本式の新しいパッシブ・ソーラーハウスの提案
個人の趣向と選択の自由、お金、そして環境
環境にやさしい家づくりの優先順位
ライフスタイルの変化と生活基盤の変化
第五章 地球環境と住居
温暖化を巡る議論
温暖化対策が遅れる理由
温暖化懐疑論について
もう2つのポイント
石油文明の行方
化石燃料の枯渇とオイルピーク
おわりに
2007年
11月
18日
日
07年12月 持続可能なまちづくりのハンドブック、出版のお知らせ
『フライブルクのまちづくり-ソーシャル・エコロジー住宅地ヴォーバン(12月学芸出版社)』の発売が間近となりました。
今回、2年間にわたる調査期間を乗り越えて、数知れない文献の山をかき分けて、持続可能なまちづくり、都市計画、環境保護コンセプトを網羅したハンドブックとなるような1冊の本を取りまとめました。
『フライブルクのまちづくり-ソーシャル・エコロジー住宅地ヴォーバン』
学芸出版社
2500円+消費税=2730円
環境先進国ドイツで最も野心的なサステイナブルコミュニティを実現した住民たちの挑戦。
徹底した省エネと自然エネルギーの利用でエネルギー消費とCO2排出を激減させ、 画期的なマイカー抑制策で車のないまちを実現。
数々の輝かしい取組みを住民主導で成功に導いた軌跡に迫る。
本書でも訳注などで述べていますが、本文256ページでは収まりきらなかった専門的な内容や写真・グラフを、ダウンロードできるように整備しました。
ダウンロードや本の詳細については、[著書の紹介]をご覧ください
97年から開発がはじまったヴォーバン住宅地では、通常の住宅地と比べ、エネルギー消費量が半減、二酸化炭素の排出量が7割削減されています。
カーフリー、カーリデュースの取り組みも成功し、車の所有台数はなんと85台/千人とドイツや日本平均の6分の1。自転車保有台数は850台/千人を超えています。
住民によってたちあげられた「ソーシャル・エコロジーコンセプト」によって、コーポラティブ住宅が、エコロジカルな職場が、遊びの道路が、ビオトープが、カーフリーが、木質バイオマスによる地域暖房が・・・と数え切れない取り組みが実施されています。
ちなみにカーシェアリングについての詳細はこちらでどうぞ。